調度1年前、昨年の今日、8月10日。
欅坂46の2ndシングル『世界には愛しかない』が発売された。

その日から、(いや、正確に言うと、その1ヶ月ちょっと前、テレ東音楽祭で『世界には愛しかない』が初披露された時から)オレの生活の大部分を欅坂46が占めるようになった。

1stシングルの『サイレントマジョリティー』もかなり好きな曲ではあったけれど、これほどのめりこむきっかけとなったのは、間違いなく『世界には愛しかない』だ。

2016年1月、David Bowieの死によって、心の中に大きな空洞を抱えてしまったオレは、音楽に対して向かい合う時間が極端に少なくなっていた。
その空洞に静かに大きく広がって、心を癒してくれた曲こそが『世界には愛しかない』だった。

イントロのキラキラと宙に舞うようなピアノの音色、そしてメロディ、アコースティックギターの爽やかな疾走感、そのファースト・インパクトで既に心を持っていかれていた。

そして、セカンド・インパクトにして、ディープ・インパクトとなったのが、てち(平手友梨奈)による、ポエトリー・リーディング。
そう来たか!!!
なんだかよく分からないけど、とにかくやられた!!
ひとりでテレビの前で、「すごい!すごい!」とバカみたいに興奮していた。

その後、Aメロの短い歌をはさんで他のメンバーに次々とポエトリー・リーディングはリレーされていく。
本格的な歌メロは、なかなか始まらない、こんなのありか!?
本当に色々な意味で「やられた!」

さらに心に残るのが、Bメロがはじまった時
「通り抜ける風は ぼくに語りかける♪」
ここで、はじめて、てち(そしてメンバー全員)の顔に笑みが浮かぶのだ。

『サイレントマジョリティー』では、一切笑みを浮かべず、この『世界には愛しかない』では、いくぶん表情は柔らかいものの、この部分に至るまでは、笑みはなく、淡々とした表情で進んできたのだが、この瞬間、まさに、通り抜ける風はぼくに語りかけてくれた。
「やられた!またやられた!」

振り付けもそれにあわせて大きな動きになり、躍動感が素晴らしい。

そして、とにかくメロディーが素晴らしい。
このメロディーがあるからこそ、歌詞が、言葉のひとつひとつが、鮮烈に心に入り込んでくるのだ。

テレビで初めて見た時は、ワンコーラスのみの披露で、一瞬で終わってしまったので(録画して何度も何度も繰り返し見たけど)、フルコーラス聴ける日を本当に楽しみに待ちわびていたものだった。

あれから1年。

『サイレントマジョリティー』の時には、メンバー数人しか認識していなかったのだが、今では、たぶんヲタの人たちともふつうに会話できるぐらい頭の中も心の中も欅坂でいっぱいになっている。